バックストーリー




東方Project二次創作
木花の空夢

- Prologue -




第123季 水無月

空夢匣を巡る一連の騒動は、博麗の巫女を中心となり
巫女が動いてから3日後の晩に収束し、
いつもの初夏の幻想郷を取り戻した。

それは結局紫の気まぐれだったのだろうか?
多くの謎を残して、その物語は幕を閉じた。

そしてそれと同時刻、幻想郷中に広まったその異変は、
それ以外の場所でも幾つかの物語を作り出していた。


ある所では、空を飛ぶ一羽の夜雀。
彼女は異変も気にせず優雅に空を飛んでいた。

しかし、突然猛烈な吹雪が襲う。
夏を迎えようかというこの時期に。

羽根は凍りつき、そのままバランスを崩し
何が起こったか分からないまま山の神社へと落ちていった。


もう一つ、妖怪の山の麓にある悪魔の館、紅魔館。
その地下から激しい魔力エネルギーが発せられていた。

察知力の高い妖怪や、敏感な者ならば
近くを通っただけで気付くような程である。

もっとも、この館で変な事が起きるのは日常茶飯事だったため
誰も気に留めることは無かった。


そして最後に妖怪の山の奥深くに住む一人の哨戒天狗。

彼女はその日、何も気付く事無く目を覚まし
いつものように出掛けるのであった。

これから面倒な事件に巻き込まれることも気付かずに――


東方空夢匣外伝 木花の空夢


初夏の眩しい日差しの中、滝の音が鳴り響く。
――その世界には不相応な、鋼と電気の金属音と共に。